強行!釣行!最高!マトウ鯛!
「なんだ!この魚は!」他の釣り仲間は驚いた様子だ。「ふふふ無理もないだろう、私はこれを狙っていたのだ」
周りが皆、サビキ釣りをしている中で私だけが一人、大きな針に活きアジを付け泳がせ釣りをしていただけのことはある。狙い的中だ。
10月1日の日曜日。五目釣りで日吉丸にて出船した。しかし私は行く前からあんまり乗り気ではなかった。「この時期に五目か・・」と思っていた。なぜならエサ取りの小魚の多いこの時期に、五目釣りとはあんまり自身がなかったし、面白みも感じられなそうになかったからだ。それにアオリイカのシーズンでもありヤエン釣りに行く予定もあったからだ。
チダイや小アジに魅力を感じてなかった。そこでいいアイディアが浮かんだ。前日からヤエン釣りをし、残った活きアジで根魚などを狙おうという作戦だ。しかし、体力的にしんどそうだ。「前日の昼から家を出発し、次の日の昼過ぎまで休み無く釣りができるだろうか」など思いながらも強行した。我ながらタフ&釣り馬鹿である。
アオリイカのヤエン釣りの最中、0時頃に仮眠を取ろうと予定していたが、結局ぶっ通しで釣りをしていた。アタリは少ないもののアオリイカも1杯だが上げることができた。活きアジはたくさん確保できた。
船頭さんは、活きアジは使ってもあんまり意味ないような感じに言っていたが、ここまで来た以上引き下がるわけにはいかない。なぜなら前に、インターネットで見たマトウ鯛の握り寿司が記憶に残っていたからだ。それは白身の魚の上に肝がのせてある、見るからに旨そうな握りだった。「なんとしてでもあの肝が食べてみたい!」そう、なによりも食い気がそこまで私を突き動かしていた。
船釣りの方は、やはりエサ取りや小魚の猛攻に合い、刺し餌のエビ(沖アミ)は入れてすぐ取られてしまい、仕掛けを頻繁に上げなければならず面倒な釣りになっていた。私は自作仕掛けの4本針に、イカの短冊(沖アミではなく)と、底バリに活きアジを付けた。予想通り、餌は取られず快適な釣りとなった。
そして、しばらくしたところで私にビックワンが来た。他の人の竿とは明らかに違う大きな竿のしなりだ。船頭は「大きめのチダイかな」と言っていたが、私は「本命ですよ」と言った。上がってきたのは大きなマトウ鯛だった。私の狙い的中ぶりに、おもわず武者震いがしそうな気分だった。
その日は結局、大漁だった。40センチ級のマトウ鯛1本、30センチオーバーの大アジ7本、他カサゴ、ウマズラ、カイワリと満足のいく結果だった。
家に帰り早速マトウ鯛を捌く。魚を捌くのも私の大時な仕事だ。捌きかたはカワハギに似た感じだ。3枚下ろしにすると、片方の身は3つに別れる。仕組みを知ると結構、簡単に捌けそうな魚だ。嫁に酢飯を握ってもらう。酢飯の上に切り身をのせ、その上に肝をのせた。「うーん。何とも旨そうだ」
握りを一口でパックと食べる。マトウ鯛の身の旨さと肝の旨さが絡み合う。「ふう・・最高だ・・」思わずため息が出た。身の方は鯛のようなカワハギような旨味のある上品な味だ。肝はカワハギよりも固さがしっかりして味はアンキモとカワハギの間のような味だ。
「また一つ旨い魚を見つけてしまった。」強行の釣行で疲れた果てた体に、最高のご馳走が与えられ満足のいく1日だった。 また飲み過ぎ、そしてぐっすり眠った。