~イカの塩辛~
「今度こそは・・最高の塩辛を・・」私の鼻息が荒い。「ンフ~フ~」
イカの塩辛はシンプルだが奥が深い。材料はイカと塩だけなのに。もう何度か自家製を作ってみたが、その度に失敗している。ベチョベチョで水っぽかったり、生臭かったり、腐ってたりもした。そして今回は60杯程ののスルメイカが釣れた。大小様々だが、この新鮮なスルメイカのキモを使いイカの塩辛を作ろうとしている。「もう、あんなマズイのはたくさんだ。」
まず、考えられる敗因はいくつかあるが一番の失敗は、キモと身をすぐに混ぜたことだ。その方が新鮮な気がするが、実は大間違い。きちんと下ごしらえしてから混ぜないとちゃんとした塩辛はできないのだ。何年目かにしてようやくつかんだコツを今ここで、語ろうと思う。
1)スルメイカを捌く。キモと身に分けておき、身の方のゲソは軽く湯引きし、胴身は皮をむきイカ刺し状に切る。
2)それをリードに敷き並べる。(多ければ何段かに重ねる)冷蔵庫で冷やし乾燥。(2晩ほど)
3)キモはイカスミを取って水気を拭き、多めの塩でタッパーなどに漬ける。(2晩ほど)
4)2晩経過したキモを酒で洗い塩分を落とす。包丁の背でキモを押し出すように絞り出し、包丁で丹念に叩きタレを作る。
5)4をボールに入れ、スライスした鷹の爪を入れ(塩辛1瓶で1本程)味を見る。塩分が足りないようなら塩を足す。(塩辛いぐらいが丁度いい。あとで熟成され馴染んで甘くなるので)
6)ここでやっと初めて、身とキモを混ぜる。タッパーなどに入れて冷蔵庫へ。
7)さらに、冷蔵庫で7日以上は寝かせる。熟成を促すため毎日、朝晩(1日2回)キレイな箸でかき混ぜる。
コツA-1)と2)の行程の身を乾燥させるのは、一夜干しで乾燥してもいい。私は、身の皮を取りたい派なので冷蔵庫乾燥をしている。
コツB-材料はイカと塩でいい。何も足さない。昔、ミリンや酒や酢や醤油など色々混ぜてみたが、旨く発酵しない原因ともなるし、第一不味くなる。大事なのは熟成こそが最大のうまみなのだ。
コツC-キモはスルメイカのを使い、身はマイカ(赤いか)を使うと、全然違う味わいになる。最高に旨い。甘みも増し、とろけるような絶頂感を覚える。
コツD-タッパに粗塩を入れて釣行し、釣れたスルメイカをすぐ生きたままキモを引き抜きキモを塩漬けにする。使用するスルメイカのキモは船上で瞬時に塩漬けされてるため臭みがなく、世界一旨い最高のキモダレができる。
コツC&Dをできるのは釣り人の特権だ。
ふと、私は思う。市販されているイカの塩辛のほとんどが、それらしく着色されてさらに保存料漬けにされ、いろんな薬品で味付けされイカの塩辛っぽくしてある。ほとんどの人は一生それを塩辛と認識し食べて終わるのだろう。それはそれでかまわないのだが。
イカと塩と風とバクテリアだけで作られたこの塩辛を食べるとつい笑顔が出てしまう。「先人の知恵は、流石だな」などと独り言を言いながら、酒がついついすすむのだ。

